弁護士リーダー50 (3)

18 January 2026

変革を推進できる弁護士は日本では少ない——そう言われがちですが、実際には確かなリーダーが存在します。Just Legalでは、日本の法曹界で活躍する50名のリーガルリーダーにお会いするプロジェクトを進めています。


今回ご紹介するのはBuySell Technologies 執行役員法務コンプライアンス室室長の尾崎健吾さんです。キャリアの転機、法務組織づくりの本質、そして「現場に寄り添う法務」の難しさと面白さについて、多くの示唆をいただきました。


尾崎さんのキャリアは、森・濱田松本法律事務所から始まります。東大法学部・法科大学院という王道のバックグラウンドを持ちながら、配属されたキャピタルマーケッツのチームでは、早い段階で「この環境で自分はどう戦うべきか」を突きつけられたと言います。


周囲には、計算力や理論構築力において圧倒的に優れた弁護士が揃う中、正面から同じ土俵で競うことが最適解ではない。その現実を冷静に受け止めたうえで、尾崎さんが選んだのは、処理スピードではなく「反応のスピード」でした。

誰よりも早く返す。案件を選ばず、前に出る。派手さはないものの、信頼が積み上がる行動を徹底することで、自身の立ち位置を築いていきます。


この姿勢は結果として評価され、パートナー就任の打診を受けるに至ります。それでも尾崎さんは、その道を選びませんでした。理由はシンプルで、「もっと大きな世界を見たい」という強い意思があったからです。


尾崎さんが次に選んだのはインハウス。 SmartNewsでのポジションでした。

ここで尾崎さんは、弁護士としての専門性を磨くと同時に、あえてマネジメントや組織運営といった領域に踏み込み、法律以外の引き出しを増やしていきました。


SmartNewsの延長線上にあったのが Medley です。法務としての判断にとどまらず、組織全体をどう支え、どう整えるか。尾崎さんはここで、「法務組織の在り方」や「能力やバックグラウンドが異なるメンバーをどう育てるか」という視点を実践的に学んだと話していました。


現在は BuySell Technologies にて、法務・コンプライアンス・リスク管理ファンクションの構築に挑戦されています。同社は訪問買取を中心とした事業で急成長中ですが、法務機能はまだ発展途上。2028年までに売上倍増を目指し、新経営陣とともに変革の真っただ中にあります。


尾崎さん自身は決して、自分を「トップクラスのテクニカル弁護士」とは位置づけていません。しかし、競争環境を正確に捉え、早い段階で戦い方を変え、リスクを取って自らを設計されています。その結果として、ビジネスリーダーであり弁護士でもある存在へと進化されています。


才能だけに頼らない、気づきと選択に支えらたキャリア。Legal Leaders 50 が目指す「リーダーとしての軌跡」を体現する一人だと思います。


尾崎さん、貴重なお話をありがとうございました。